|
昨年の十一月十四日、ゴリラのモモコに九年ぶりに二番目の子が誕生しました。モモコの子、モモタロウの妹、ということで、コモモと名付けています。冬を迎える時期の出産でしたので、育児は温かい室内で続け、やっと皆さんにお目見えできるまでに成長しました。

写真/モモコとコモモ母子
今年は桜の季節になっても、なかなか気候は安定しませんでしたが、四月一日ようやく晴れ、気温も二十℃に達しました。モモコ、コモモ親子を放飼場に出したところ、久しぶりの広い屋外に、モモコは興奮気味です。ほかのゴリラにも馴らすため、いっしょに出したナナをモモコは胸を叩いて威嚇しました。三十分ほどで落ち着き、コモモを抱いて毛づくろいをしたり、あやしたりして、日向ぼっこをしながら過ごしたのです。
野生のゴリラは群れでくらし、群れの中で子は育ちます。子が一歳くらいになると母親は、子育てを父親に委ねるようになります。コモモがゴリラの子として育つ、鍵を握っているのは、お父さんのハオコの存在です。四月十日、ナナに続きハオコもいっしょにしました。ハオコはコモモが産まれた日は、柵越しに我が子をじっと見つめ、部屋から放飼場へ出ようとしなかったのです。
五ヶ月待って、やっと我が子と直接対面です。最初、モモコはハオコが近づくと向きを変え、コモモを隠します。ナナまで協力しハオコを追い払いました。でも、少しずつうちとけて、ハオコはコモモをのぞき込み、そっと触らしてもらえたのです。ゴリラの子は父親に遊んでもらいながら、ゴリラ社会のマナー、ルールを学び成長します。ハオコの大きな背中で遊ぶコモモのかわいい姿が、目に浮かび、待ち遠しい今日この頃です。
オスなのにハオコ?
よく質問されます。この名は生まれ故郷オランダのアンペンドールン動物園で付けられました。ここでゴリラを研究し、三十代の若さで亡くなったハンス・オットー・コフさんを記念して、頭文字三つを取って命名されたのです。
(こみやてるゆき・上野動物園長)
|