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ボブ・ディランを追っかけて 立見伸一郎

 ここ数年幾度となく来日の噂が出ては何故か土壇場キャ ンセルが続いていたが、暮れも押し迫った昨年末の12 月22日、読売と朝日新聞朝刊に「ボブ・ディラン9年ぶり来 日?」の告知が掲載されると、狂喜乱舞するボブファンの 友人知人からのメールや電話の嵐、その日より僕のボブ・ ディラン日本公演追っかけ奮戦記が始まった。なぜならそ の日からいきなりのネット先行予約があるという。当然新 聞には東京公演(当初は6公演)日程のみの掲載、程なく して大阪4公演、名古屋2公演とそれらの先行予約日が判 明、すべての公演チケットを押さえ気合い十分、新たなる 年が明けた。しかし更に嬉しいことにおとそ気分も抜けた 2月8日東京1公演大阪1公演の追加公演が発表となり、 これでなんと合計14公演だ、新幹線のチケットを押さえ地 方の宿も予約し仕事の調整をして公演初日3月11日を清清 しい気持ちで迎えた。

 開演時間が近づくとバンドメンバーにその日のセットリ ストが配られ、ナグ・チャンパ香の妖艶な煙が起ちこめ、 客電が落ちると会場にヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」 第8曲「イントラーダ」が厳かに流れ、ディランを紹介す る恒例のアナウンスとともにバンドメンバーそしてディラ ン本人がダンディなステージ衣装に身を包み満を持して登場.興奮 は最高潮に! 日本公演の、いや2010年ツアー1曲目「川の流れを見つめて」 からアンコール・ラストの「見張塔からずっと」まで全17 曲、時にキーボードを弾きながら、時にギターをほぼ縦に 抱えながら、時にセンターマイクの前で、時にそのセンタ ーマイク片手にもう片方にはハーモニカ専用のマイクを握 り締め(つまりこの時は両手マイク状態)ディラン最高の パフォーマンスが次から次へと繰り広げられた。

 特に初日はセンターでハンドマイク片手に彼独特な手振 り身振りを交え熱唱する「アイ・ドント・ビリーヴ・ユー」、 「キャント・ウェイト」に歓喜するも、わたし的には結果13 日間通して唄われたアンコール前ラスト曲「やせっぽちの バラッド」が白眉、ステージ上で醸し出す彼の老練なる色 気とダンディズムが照明の演出も加わり、あの威風堂々と したパフォーマンスでこの名曲を更に唯一無比な曲に仕上 げ、御歳68 歳を微塵にも感じさせない迫力ある声量で我々 オーディエンスにどれほどの活力と感動を与えたのかは言 うまでもない。ありがとう、ディラン!

 ファンなら皆熟知してるがディランライブの選曲には日 替わり曲が約半数ある。 (ちなみに筆者は2009年ロサンゼルスのハリウッド・パラディウムにて10月13、14、15日と3日間連続公演を観戦、この時も3日間で1公演17曲に も関わらず幸せな事に延べ33曲もの曲が聴けた)今回の大 阪5日間のセットリストを見ても1公演17曲にもかかわら ず都合48曲もの曲を楽しむ事が出来たのだ。つまり85曲中 半数以上もの曲が日替わり曲として披露された、同じく名 古屋でも34曲中27曲、東京では...... 曲中なんと56曲もの曲をファンの前に披露してくれた。

 さらにディランはライブ演奏の時原曲を忠実に再現する ようなことは一切 しない。曲に新た なる命を吹き込み その生命体にエモ ーショナルなエネ ルギーを育むアレ ンジが彼の「声」 と混ざり合ってそ の瞬間瞬間の『ボ ブ・ディラン』を 表現する故、セッ トリスト定番曲で すら、例えば昨日と今日の「ライク・ア・ローリング・ス トーン」でもそこには何故か果てしない懸隔を感じてしま う。その感覚を何度も体験したい僕は行ける限り会場に足 を運び、昨日より素晴らしい今日のライブを堪能してしま うのである。

 そうそう我がディラン収集家としては日本公演限定オフ ィシャルグッズ、特に今回はその日その日の日付をプリン トした限定T?? シャツも14公演分すべて購入し またチロルチョコとディランがコラボしたチョコセット(これはもち ろん食し用と保存用の2セット)初めすべてゲットしたの は言うまでもない(笑)。

 東京公演最終日、それまでずっと14曲目の定番だった「や せっぽちのバラッド」をはずし、いきなり「いつまでも若 く」が演奏された。詩人のアーサー・ビナード氏が、ディ ランが「息子の事を思い、自然に浮かんだ言葉をあまり感 傷的にならず」に作ったその有名曲「いつまでも若く」に 新たなる日本語訳をつけた絵本『はじまりの日』 (岩崎書店) を出版されたのは記憶に新しいことである。機会があれば 是非一度この素晴らしい絵本を手にとって読んでみて欲し い。あなたの心にディランからの熱いメッセージがきっと 届くことだろう。

 最後に今回この追っかけに同行した友人2人に感謝の気 持ちをこめて…… Thank you,friends."

(たつみしんいちろう・ボブ・ディラン収集家)

 


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