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正月の寄席 --芸歴七十周年を迎えて-- 三遊亭金馬

お目出度うございます。本年もよろしくお願い致します。

お正月は落語家はなしかの稼ぎ時で、どこの寄席も初笑いにと、おいでになるお客様で一杯。

だから私達もあちこちの席をまわって、しっかり稼ぎます、なんて今はそうはいかない。

なにせ私も年ですからね、せいぜい寄席を一軒か二軒、疲れない程度にそーと動いています。もう八十二才になりましたのでね。

 若い頃は馳けずり廻ってましたね。昭和五十年頃のスケジュールを見ると、寄席三軒を二回ずつ出て計六回、其の間にホテルの仕事で一席、ラジオの生番組をやって、なんて一日中飛び廻っていました。それも紋付袴姿でね。

 昔は疲れた、お腹が空すいたと云っても、正月三ヶ日は休む処も食べる所もなかったですね。皆、正月はお休み。今は、コンビニ、ファストフード、丼物屋等、年中無休で困る事がない。昔は年に一度のお正月休みと、どこも休業、デパートも三ヶ日過ぎなきゃ営業しない、まことに静かなものでした。だけど走り廻ってる芸人は困ります。楽屋へ行ってもお茶しかない。腹がへって腹がへって、なんて情けない話です。

 そこは苦労人の先輩は有難い。地下鉄稲荷町駅の近くに、林家彦六と云う師匠が住んでおられた。その御宅では毎年正月に牛丼を作って振舞って下さる。上野鈴本に出演して其の足で稲荷町へ。

「おめでとうございます!」

と入って行くと私達と同じ様な連中が牛丼にかぶりついてる。

 本当に助かりました。はなし家世界は人情が厚い世界です。

 さて、高座に上って客席を見ますと、昔とはお客さんが変りました。いや、楽しみに来られる気持ちは変りませんが、服装ですよ。昔は年に一度の正月休み、皆さん着飾っていらした。男性は着物とか背広、ネクタイ。女性は和服に日本髪、それに白いエリ巻なんて華やかでしたね。其の頃は高座から客席を見るとお花畑の様でした。色とりどりのお召物。キラびやかな髪飾り、綺麗でしたよ。

 近頃の客席はすごい格好した人ばかり、いつどこで遭難してもいい様ななりをしてる。高座から見てもちっとも正月らしくありませんな。とまあ時代により世間も寄席も変って来ましたが、お客様の初笑いは昔も今も、大きな笑いが寄席から始まってる様です。

正月二之席、一月十一日より二十日迄は私が鈴本演芸場で、夜のトリをつとめます。

 芸界に入って七十年記念と銘うって熱演します。また、三十一日の「うえの落語」では、ご当地にちなんだ「ねぎまの殿様」でうかがいます。

是非皆さん、来てくださいね。

■三遊亭金馬
芸歴七十周年記念興行
「金馬が選ぶ残したい落語十選」
1月11日(火)から20日(木)鈴本演芸場・夜席 電話:3834-5906

■うえの落語
1月31日(月)鈴本演芸場(入場は、1月5日迄に申し込みを。
詳細は、上野中央通り商店会 電話:3833-0030へ)

(さんゆうていきんば・落語家)

 


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