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定武蘭亭序―韓珠船本―
(ていぶらんていじょかんじゅせんぼん)
王羲之筆原跡=東晋時代・永和9年(353)
台東区立書道博物館蔵
中国四世紀の東晋(とうしん)時代に活躍した王羲之は、漢時代から続く門閥(もんばつ)貴族の一員として生まれました。晋時代、互いに贅を競い合った貴族たちは、生活のあらゆる場面に瀟洒(しょうしゃ)を求め、その結果、書もまた最高の水準に到達していました。能書の一族に生まれた王羲之は、伝統にとらわれず、先進的な字姿を獲得し、書を芸術にまで高めたのです。
書聖と称される王羲之は、後世に大きな影響を与えましたが、真跡が一つも残されていません。現在、王羲之の字姿を伝える資料には、摸本と拓本があります。なかでも、唐の宮廷の専門職人が、双鉤填墨(そうこうてんぼく)という技法を用いて、王羲之の原本から直接しき写した摸本は、王羲之の書の実像を伝える最も信憑性の高い資料となります。
この展覧会では、ごく僅かしか伝存しない唐時代の精巧な摸本のうち、五点を一堂に集め、書聖の実像に迫ります。内外に収蔵される王羲之の名品や各種の蘭亭序(らんていじょ)、唐から清に至る優品の数々を通して、書聖の魅了を堪能し、書とは何かをあらためてお考えいただければ幸いです。
(とみたじゅん・東京国立博物館列品管理課長) |